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日中同形語の字形表記に関する一考察

时间:2022-04-07 理论教育 版权反馈
【摘要】:叶栩邑摘 要:中日同形词的研究近三十年来得到了迅猛发展,但与此同时也存在着诸多亟须解决的课题。これまでの日中同形語対照研究は主に意味用法の比較を中心とし、表記問題においてはまだいくつかの課題が残されている。一方、日中同形語研究の重要課題となる定義に関する記述においては、ほとんど表記について説明が加えられている。

叶栩邑

摘 要:中日同形词的研究近三十年来得到了迅猛发展,但与此同时也存在着诸多亟须解决的课题。其中一个重大课题便是中日同形词的定义,各家众说纷纭未成定论,中日同形词的字形作为限定定义的重要条件之一,叙述上也比较笼统并没有做出细致、具体的限定,以致出现实际被判定成中日同形词的实例与定义描述出现分歧的情况。重新审视修整定义中关于字形的描述变得十分必要。另一方面,迄今对于字形的对比研究多以个例比较为主,对于整体中日同形词变化的量化测定研究更是少之又少。本文以最具代表性的中日同形二字词为对象,通过对1000词例的实例分析调查,总结了中日同形词变化差异的种类情况,并统计了相似度值,从量上进行了整体的情况把握和分析。

关键词:中日同形词;定义;字形表记;变化类型;相似度

1.はじめに

日中両言語の漢字字形に関する対照研究は数多く存在するが、日中同形語だけに絞って見れば、それを研究テーマとして取り上げる研究はまだ多くはない。これまでの日中同形語対照研究は主に意味用法の比較を中心とし、表記問題においてはまだいくつかの課題が残されている。まず、日中同形語の定義に関してはまだ定説にならず、特に定義の制限条件とする表記記述がはっきりとされず、実際の日中同形語判定と定義記述にズレが生じているのは事実である。また、表記問題に関す研究は個例研究にとどまるか、質的記述となるか、日中同形語表記変化の基本状況と類似度の実態調査は極めて少ないのである。本稿は、以上の課題に着目し、1000語の実例調査を通して、課題の解決を向けて試みている。

2.日中同形語の表記に関する先行研究

2.1 松下(2009)の日中同形漢語音韻的·書字的類似度調査

この調査は、国立国語研究所(2006)『現代雑誌200万字言語調査語彙表』公開版(ver.1.0)の自立語使用頻度上位5000語をもとに、日中同形漢語1411語を選出し、音韻と書字の類似性をデータ化したものである。

書字的類似性を調査する際に、松下は以下の判定基準をもとに、点数を付けて類似度をデータ化している。

a.2点 同形 筆画がほぼ同じとみなせるもの

一部画数や微妙な筆画が異なるものも含む。

例:(日本語—中国語)差—差、印—印、以—以

b.1点 類似形

二つ以上の構成要素、構成要素の一部が同じ位置で一致(例:動—动)。

一つの構成要素、筆画の半分以上が同じ位置で一致(例:冊—册)。

c.0点 異形

上記以外、日本語漢字の一部構成要素が中国語で一字となっている場合は位置が異なると考えて異形と見なす。

例:離—离、類—类、複—复

2.2 日中同形語の定義における表記説明

日中対照を中心とする日中同形語の先行研究は意味用法の対照比較が多く、表記の全体状況や日中同形語表記の差異性などをテーマとして取り扱う研究はまだ比較的に少ない。一方、日中同形語研究の重要課題となる定義に関する記述においては、ほとんど表記について説明が加えられている。同形語の定義説明あるいはその範囲を確定するため、表記は制限条件としては不可欠な重要部分である。以下は、定義に関する代表な諸説を紹介する。

2.2.1 大河内の説

大河内(1992:179)は日中同形語の定義について次のように解説している。「同形語とは何か。一言で言えば「政治·文化」のように日·中で字面が同じ単語であるが、この呼び方が中国で使われだしたのは比較的最近のことのように思う。もち論日本での呼び名は中国語を受けている。概念の定義が違うが、従来“日▪借▪”と呼ばれてきたものが主としてこれに相当する。これを拡大して、この“日▪借▪”と古来中国語にある語(同じように言えば日本における漢語借詞)とを合わせ、いずれがいずれを借用したか問わず、双方同じ漢字(簡体字は問わない)で表記されるものを同形語と呼ぶようになったと思われる。1970年代になって、中国の日本語研究者の間で一般化したもののように思う。従って、同形語といっても「山、人、大、小」など一字で音訓いずれにも使われるものは含まない。「文化、経済、克服、普通」のような二字(ときには三字以上)の字音語で、表記のみならず語構成が問題になるものである。語構成における共通性が同形語といわゆる所以であり、従って借用関係が問題になるところである。」

ここで、表記についてはまず「字面が同じ単語」という姿勢で、これは荒川(1979)「視覚同一性」の主張と近い。しかし、ここで「同じ」の容認度は一体どこまで包括できるかは詳しく定められず、後続の説明にもただ「双方同じ漢字(簡体字は問わない)」という表現だけが付け加えられている。

2.2.2 潘鈞·万玲華の説

潘鈞(1995)は日中同形語の定義を以下の三点にまとめている。

①表記は同じである漢字。(繁体·簡体、送り仮名、形容詞語尾など非漢字的要素は無視する)

②出自が同じあるいは歴史的な関連性があるもの。

③現在日中両国とも使用中のもの。そのうち、二字語が最も多く、また三字語も四字語もある。

潘鈞の説では、繁体簡体の枠を越え、さらに送り仮名や形容詞語尾など非漢字的要素も無視することを提出し、日中同形語表記の容認幅を広げている。その結果、漢語だけではなく、同一の漢字要素を持っている限り語種に拘らず全て同形語の枠に入っている。

万玲華(2004)の説では、同形語というのは、書面上同様な漢字表記を持つ中国語と日本の漢字語である。また、日中お互いに借用する過程における言葉形式上の変化は無視することを強調し、送り仮名や簡体繁体の字形変化を無視する。おおむね潘鈞(1995)の説と一致している。

2.2.3 何宝年の説

何宝年(2012)では諸先説をまとめたうえ、漢字の書き方、読み方、送り仮名、文字数、語構成、借用関係などの面から定義を詳しく定めている。

①漢字の書き方について、「柔軟に同形語という概念を処理する」ことを強調し、筆順や繁·簡体の差異を考慮に入れない姿勢である。しかし、「仮名+漢字」のパターンを認めず、漢字語だけに絞っている。送り仮名がついてもつかなくても場合、つかないほうを認める。例えば(打ち消す△、打消す△、打消○)。

②日中同形語は音読みの漢語に限らず、訓読み、湯桶読み、重箱読み、熟字訓、当て字などを認める。漢語和語から分けることではなく、その全体を「漢字語」で括るようにしている。

③字数に関しては、大河内の一字語排除の観点と違い、「中日同形語に字数の制限を設けるべきではない。独立できる単語や連語であれば、文字数の多寡に関わらず、中日同形語であることは認めるべきである。」と主張している。

④語構成に対して、日中両国の異なる言語環境を念じて、必ずし語構成の同一性を求めることではない。

⑤借用関係の重要性を認めながらも、同じ字形の漢字語である限り同形語として認める姿勢が崩されない。また、借用関係があっても、日本語では音読みでない語と借用関係がなくても、偶然一致した漢字語を例として挙げた。

ア.借用関係あり

中国から日本に入った語:紫陽花(あじさい)、雨具(あまぐ)、梅雨(つゆ)

日本から中国に入った語:立場(たちば)、出口(でぐち)、場合(ばあい)

イ、借用関係なし、偶然一致した漢字語

石頭(いしあたま)、女将(おかみ)、行楽(こうらく)、平手(ひらて)

⑥日本語に比べ、中国語の漢字の独立性が強いし、漢字と漢字の接続関係が複雑の故、日本語では合成語の場合でも中国語では連語になるケースも少なくないと指摘した。例えば「怪我」は合成語ではなく、中国では一般の辞書にも収録されていない。

⑦同形語の範囲としては、「辞書に載せているか否かにかかわりなく、インターネットを含めて、現代の中日両国の日常生活や様々な分野で使われている同形漢字語はすべて中日同形語である。」と広く包括している。

また、次の漢字語は同形語として扱うのは適切だと追加で強調している。

ア.演歌や俳句や和歌などで特別な読み方をする漢字語

イ.固有名詞

ウ.字順が違う漢字語

例えば、紹介—介绍

エ.違う漢字の言葉

例えば、気分—气氛、模索—摸索、欠点—缺点

オ.元の漢字が違う漢字語

例えば、

繁体字 日本語 中国語

散發 散発 散发 sàn fā

散髪 散髪 散发 sàn fà

3.日中同形語定義の表記制限と同形語としての表記特徴

2000年に入ってから日中同形語に関する研究は突飛的に発展してきたが、未だいくつか大きな課題が残されている。その中の一つは、まだ定説になっていない日中同形語の定義問題である。日中同形語の定義については、無論語構成、字数、借用観点などの制限条件から定められているが、一番注目すべき「同形」の「形」即ち字形表記に関する記述が事実上まだ不十分で、明確に説明されていないのが事実である。実際の語彙研究において、同形語[1]と認定されている語のなかに、定義の表記説明の枠を超える「異例」の存在も確認されている。定義における字形表記の記述を見つめ直し、もっと充実にさせる必要があると思われる。

3.1 定義の制限条件とした字形表記の記述説明

日中同形語と命名される以上、形態上の同一性が従来重視されている。先行研究で列挙されたように、「双方同じ漢字で表記されるもの」「表記は同じである漢字」など、表記の同一性を求めている。しかし、実際に同形語と見なされる語の字形を見てみると、その「同一」からかけ離れているケースも多数存在している。例えば、「衛—卫、厳—严、蘭—兰」を見てみると、漢字全体の構造が変わり、字形に保留される部分もほとんどなく、「同一」とはとても言えないほど差異性が大きい。それら変化の大きい例に対して、定義説明の付け加えとして「繁体簡体を問わない」などの記述が綴られている。

しかし、日中同形語における字形表記の変化は、簡単に「繁体簡体を問わない」という表現で包括できない。

ア.繁体簡体の変化パターンではなく、異体字関係。

例:田亩(tiánmǔ) 田畝(でんぽ)

中国語では「亩」という字の繁体簡体はすべて同じ字形で、「畝」という字形との関係は異体字に属する。これは、明らかに定義の繁体簡体関係の枠を超えている。

イ.繁簡体の複雑な対応関係

例:干草(gāncǎo) 乾草(かんそう)

中国語では「干」が多音多義語で、四声の場合は①(仕事を)やる、行う、する;②担当する、从事する;③凄腕の、腕利きの;④しくじる、おじゃんになる、大▪なことになる;⑤幹部;⑥骨幹、中心となるもの、複数の意味を持っている。それらの意味を取る場合、それと対応する繁体字は「幹」となる。

一方、もう一つの発音、即ち一声になるとき、その意味も「乾燥」に関連するほうに変換している。その場合、対応する繁体字は「乾」と書かれている。しかし、「乾」という字は繁体字の系列に属しているだけではなく、現在使用中の中国語の系列にも存在し、「天地」の意味を示している。

六書の造字法からみれば、「乾」は仮借法を利用し、既存の字形で、他の同音·類似音を持ちながら意味がまったく違うものを表している。その結果、「乾」という字は「乾燥」と「天地」のようなまったく違う意味と繋がり、長い中国語漢字変化の歴史で、「乾燥」という意味の字形は簡体化され、最終的に「干」となり、「天地」と意味をする字形がそのまま残され、現代中国語の字形としても使われている。

ウ.多表記の対応問題

例:沙漠(shāmò)砂漠(さばく)

上記の例は中国語では単一表記で、日本語では同じ「さばく」の字音で、複数表記が存在している。国立国語研究所(2014)『NINJAL—LWP for BCCWJ』ver.1.30で書字形の基本状況を調べたところ、一番代表的な表記は「砂漠」で、1155例あり全体の90%を占め、その次は「沙漠」で86例7%、「さばく」40例3%、残り「砂ばく」の表記はわずか4例しかない。

複数表記のなか中国語の表記と一致する「沙漠」の表記が確かに存在するが、実際使用する際「砂漠」の表記が90%の割合で圧倒的に多く、常用表記あるいは通常表記とも言える。「砂漠—沙漠」が明らかに異なる字形となっている。その表記の変化は、繁体簡体の変化ルートでは、異体字の関係でもなく、ここで依然として日中同形語と認定される背景には、複数表記の対応に関する全面考慮があると考えられる。

3.2 日中同形語に関する定義の見つめ直し

先行研究の定義に関する諸説をまとめて見ると、以下の共通性と分岐点がまとめられる。

日中同形語と命名された以上、いずれの定義記述にも形態上の同一性を重視している。「字面が同じ」「表記は同じ」「書面上同様な漢字表記」などを強調すると同時に、形態上ずれが生じやすい繁体簡体のパターンを例外として無視することにしている。しかし、追加説明がなく、単なる「柔軟に同形語という概念を処理する」や「借用する過程における言葉形式上の変化は無視する」など概括的な表現で総括している。

日中両言語は長い歴史の中で影響し合いながら発展してきた。日中同形語の関連性について、お互いの借用関係を重視して「出自が同じあるいは歴史的な関連性があるもの」を制限条件として定義に加わっている説もあれば、その借用関係を重視しながら、反例を挙げて制限条件として設ける必要がない説もある。確かに実際の語彙調査を行った結果、借用関係がない例も多数存在することが明らかになった。借用関係は紛れなく日中同形語研究の重要な側面の一つであるが、定義の制限条件とは言えない。

日中両国の歴史文化が影響し合いながらも、それぞれ表記変化の道も歩んできた。日本語の表記システムには、漢字だけではなく、同時に仮名も存在している。しかも両国の漢字さえ長い歴史の中で異なる変化のルートを経てきて、字形に大きな変化が見られる。これまでの定義諸説においては、字形の繁体簡体と送り仮名、あるいは語彙間の借用関係や出自などの有無に焦点を置いているが、ここで一つ重要な点が見逃されている。一字語は別として、語彙全体の歴史関連性と借用ルートより、語彙を構成する各漢字の字形のルーツやその関連性が定義にとってむしろ重要だと思われる。そうすると、繁体簡体だけで見えていない表記上の問題も、漢字自体の関連性から説明できるし、字と字の対応関係から制限条件とする表記の説明をもっと正確かつ充実に説明できると思われる。

字形と借用関係のほか、先行研究の定義に関する記述にも、語種·字数などの点においてそれぞれの主張がある。それらの同形語定義の制限条件により同形語範囲が確定される。しかしその範囲が無意味に設定されたことではなく、いずれも各自の研究目的に沿うものである。定義の諸説で示されたように、一番典型的な同形語は二字漢語であり、それを中心として範囲を拡大すると、語種に拘らず仮名なしの「漢字語」となる。例えば、「場合」は和語でありながら、中国語の「▪合」と書字的·意味的な関連性もあるため、日中対照や日本語教育にとって研究価値があるものとして範囲に入れている。さらに拡大すると、逆順語(中国語:介▪日本語:紹介)または「送り仮名、形容詞語尾など非漢字的要素は無視する」のような仮名付きの語も範囲に入れられ、字数に対しても制限を設けない主張もある。普通、語彙素ともなれる一字語の複雑性によって、日中同形語の対照研究においてよく避けられるが、万玲華(2004)の研究では、逆に一字語を研究対象に入れ、仮名など非漢字要素を無視して漢字自身に焦点を絞っている。その背景には、研究の主体は中国語を中心とし、日中漢字字形の関連性によって通時的な研究を行ったことにある。

4.日中同形語表記変化の基本状況と類似度の実態調査

4.1 調査範囲の設定

王蜀豫(2001)の研究では日本語『現代国語辞典』(77000語)を対象に、二字以上の漢語31797語を抽出し、そこから日中同形語を選別して同形同義語(10480語)、同形類義語(1911語)、同形異義語(635語)三種類に分けて、意味別に整理している。本研究はこの大規模の語彙リストを参考し、代表性がある二字漢語に絞り、一番割合が高い同形同義語の中から1000語を抽出し、日中同形語表記変化の基本状況と類似度について調査を行った。

4.2 基本の表記状況と変化パターン

漢字の構造としては、普通上下型·左右型·外内型と単体型4種に分けられている。日中同形語の表記の変化が生じる際にも、その構造に沿ってパーツ的あるいは全体的に変化するが、実際1000語の事例を調べたところ、もっと繁雑な変化パターンとなっている。

ア.上下型の変化例

①下片方簡略 蒼(空)—苍

②上片方簡略 懸(谷)—悬

③上下同時簡略 (佳)節—节、(角)質—质

④下だけ保留 雲(霧)—云

⑤下左簡略 篩(管)—筛

⑥下内簡略 (木)蓮—莲

ここで一番多いパターンは①番と②番のように部首が保留され、残りの上半分あるいは下半分が変化するものである。また③番のように上下同時に変化するパターンも存在している。例語を見てみると、上下型「節」の下半分がさらに左右構造となっていて、上下同時変化といっても、結果として下半分全て変化することではなく、字形1/3を占める右下部が実際保留され、全体の構造も依然として上下型となっている。一方「質」も上下同時に変化するが、全体構造も変わり、結果としては外内型の構造になってしまった。

④番の場合では、上部が部首ごとに消えたため、全体の上下構造が崩されたが、下部がまるごとに保留されている。また⑤番と⑥番のように、部首ではない半分はまた左右·上下·外内の構造にも細分でき、字形の変化率は1/3を単位に変動している。

上下型をパーツ的に解体すると、2分法だけではなく、3分法ひいては4分法など存在している。またそれと相応する字形の変化率も、解体するパーツの数(ここでNとする)をもとに1/Nを単位に0から1までの範囲で段階を分けて変化率を数字化できると思われる。

イ.左右型の変化例

①右片方簡略 (天)際—际

②左片方簡略 誕(辰)—诞

③左右同時簡略 鸚(哥)—鹦

④左だけ保留 (地)殻—壳

⑤右だけ保留 復(縁)—复

⑥右外簡略 (狂)瀾—澜

⑦右内変化(繁化)(延)髄—髓

⑧その他 (害)獣—兽(中国語での繁体字形 獸)

上記の変化パターは上下型と類似している。特殊例の⑦番と⑧番も、先述3.1で述べたように、日中表記対応と変化の複雑性を示している。

ウ.外内型の変化例

①外片方簡略 (夜)間—间

②内片方簡略 連(夜)—连

③内だけ保留 週(末)—周

エ.単体型の変化例

①単体 (海)馬—马

以上の変化パターンは全て語彙表1000語をもとにまとめられたもので、理論上これ以上多くのパターンが存在すると推定できる。

4.3 類似度判定基準の見直しと調査結果

松下(2009)日中同形語字形類似度の調査では、同形·類似形·異形三段階に分け、それぞれ点数をつけて、類似度をデータ化している。しかし、1000語の事例を調べたところ、もっと複雑な状況だと分かった。

まず、「同形」に対して、本稿は松下の判定基準とほぼ一致している。全体構造と字形の同一性が必須条件であるが、筆画や書き順における微妙な差異はここで無視できる(日本語:春 中国語:春)。

しかし、類似形と異形に対して本稿は異論を持っている。松下の判定基準では「日本語漢字の一部構成要素が中国語で一字となっている場合は位置が異なると考えて異形と見なす」と主張しているが、「離—离、類—类、複—复」などのように、単なる字形の変化から見れば、全体構造が崩されているが、半分の字形が保留され、完全な異形とは言えない。これらの事例より、全体構造が崩され、保留される部分も一切ない語が異形としてもっと適切だと思われる(例えば、衛星—卫、露頭—头、厳冬—严)。

また、日中同形語字形の差異を調査たところ、類似形と同形·異形と類似形の間にも段階があることが分かった。

①類型と同形の間(全体構造崩さない、筆画のほんの一部の変化)

(玉)兎—兔 (星)団—团 (天)壌—壤 満(天)—满 強(風)—强

(酷)熱—热 残(月)—残

涼(気)—凉 渓(谷)—溪 (山)巓—巅 (地)勢—势 隕(星)—陨

順(風)—顺 硯(池)—砚

②異形と類型の間(すべて異形になるわけではなく、ほんの一部の保留)

(月)輪—轮 (幹)線—线 車(道)—车

調査をもとに類似度の判定基準を改めてまとめた結果、以下の通りになる。

2点 同形

同じ構造筆画が少ししかずれがないもの

1点 1.5点類似形

1点 構造1/2(±α)保留される

1.5点 全体構造が崩されず、筆画がほんの一部変化

0点 0.5点 異形

0点 保留する部分なし、字形全体が違う

0.5点 すべて異形になるわけではなく、ほんの一部の保留

ここで、表記の類似度を点数付けてデータ化しようとしているが、この点数の設定は連続関数ではなく、あくまでも段階分けの印として数字で表示している。しかも、字体変化の部分を全体に占める割合を計算する場合、字形解体の仕方によってその比率も変動する。従って、類似形判定における±αが正確値になれず、一定の範囲数値だけを指している。

4.4 字形類似度の実態調査結果(1000語)

前節で述べたように、字形変化率の計算は自然連続の関数ではなく、精密な数値というより、類似度の調査は単なる傾向性を示している。しかし、その調査によって、日中同形語表記変化の実態や類似度の状況などを垣間見ることができる。

表1と表2で示されたように、第一字でも第二字でも、一番多いのは「同形」のほうで両方とも7割以上占めている。日中各自の歴史文化の変化において、漢字表記がそれぞれ異なる変化ルートを歩んできたが、日中漢語における字形の変化がそんなに多くはない。また、その結果も字形上の同一性を求める日中同形語定義の主張と呼応し、裏付けをしている。「同形」の次は「類似形」1点の方で、全体の2割未満をしめしている。その理由としては、変化の主流パターンは、普通字形1/2を占める部首の変化だと思われる。

表1 第一字

续 表

表2 第二字

次は二文字組み合わせの平均値を見てみよう。同様、平均点2の数値から分かるように、「同形+同形」のパターンが一番多く、7割にはなっていないが、全体の半分以上を占めている。「同形+類似形」「類似形+類似形」のパターンも多く、二文字ともに異形のパターンがほぼ見られていない。

表4では、その二文字組み合わせの平均値の評定指数を示している。第一項目は1000語各平均値の「平均値」で、その数値から見れば1.7603もあり、最高値の2と非常に近い。標準偏差0.31927の数値からもわかるように、データ全体のばらつきも多くない。全体の傾向としては、日中同形語表記の類似度が割と高いほうである。

表3 平均値

续 表

表4 平均値評定指数

5.終わりに

日中同形語の意味用法など内面的な差異性より字形表記上の差異が顕在的で単純な問題だと思われがちであるが、実例の調査で分かったように、日中同形語の字形表記は思った以上複雑な対応関係と字形変化パターンを持っている。本稿は定義と関連する表記の記述と日中同形語字形の類似度調査という二点から考察を行ったが、今後の課題としては、類似度判定の基準をさらに細分して、字形変化パターンの対応度をさらに向上させようとする。

参考文献

[1]潘钧.中日同形词词义差异原因浅析[J].日语学习与研究,1995(3):21-25.

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[7]何宝年.中日同形▪研究[M].南京:▪南大学出版社,2012.

[8]林玉恵.字形の誤用からみた日中同形語の干渉及びその対策—台湾人日本語学習者を中心に—[J].日本語教育,2002(112):45-54.

【注释】

[1]同形語と認定される語の実例は全て王蜀豫(2001)が整理した日中同形語語彙表から抽出したものである。その内二字漢語だけでも13600語あまり集められている。

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