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実験に基づく非意図的結果他動詞文の考察

时间:2022-04-07 理论教育 版权反馈
【摘要】:王 欣摘 要:日语非自主及物动词句属于非典型的及物动词句,有些句子表达的事件是由于主语自身的原因造成的,有些则是由于外界的影响造成的。

王 欣

摘 要:日语非自主及物动词句属于非典型的及物动词句,有些句子表达的事件是由于主语自身的原因造成的,有些则是由于外界的影响造成的。本文通过实验的方法对带有结果含义的非自主及物动词句的可接受度进行了考察,发现非自主结果及物动词句的可接受度和事件的原因、宾语的特征、动词词义有很大关联。并且发现前人研究中提到的「状態変化主主体の他動詞文」并不是一个脱离了动词基本用法的构式现象,此种结构的大部分句子的可接受度是很低的。其主要原因是及物动词句在大多情况下表示“主语对所发生的事件负有责任”这一含义,而主语没有对宾语施加作用的句子在表明事件是由其他原因造成的条件下,主语的责任性降低,而及物动词句的形式却强调了主语的责任性,这在逻辑上是不合理的。

关键词:非自主;及物动词;事件原因;动词词义

1.はじめに

日本語では、他動詞文は意図的な出来事を表す場合が多いが、非意図的な出来事を表す場合もある。

(1)Aさんは転んで、ズボンを破ってしまった。

(2)Bさんは人に押されて転んで、てのひらを切ってしまった。

(3)Cさんは人に蹴られて足を折ってしまった。

(1)-(3)は意味の上では次の特徴を持っている。

主語に当たる人が目的語の変化を意図して行動を起こすのではなく、自分の不注意やミスによって不意に目的語に変化を引き起こしてしまう。或いは、目的語の変化を実現するための行動をしていないが、外部からの影響により受動的に目的語の変化を被る。このような文を「非意図的な結果他動詞文」と称する。

本稿では、実験の方法に基づき、非意図的な結果他動詞文の中にどのようなものが容認されやすいのか、どのようなものが容認されにくいのかを明らかにする。さらに、その容認性と関わる要因として事態の原因、目的語の特徴、動詞の意味特徴などの条件があることを、統計学的な方法による処理を通して検証する。

2.先行研究と問題意識

先行研究には、研究者自身の内省で非意図的な他動詞文の自然さを判断するものが多く、実験を通して文の容認性を考察するものが殆ど見当たらなかった。また、非意図的結果他動詞文全体がどのような条件の下で成立するかの研究はあまりないが、外部からの影響による事態を表す非意図的な結果他動詞文の成立条件についての研究には、天野みどり(1987、2002)、児玉美智子(1989)、佐藤琢三(2005)などがある。

天野みどり(1987)は次の(4)ような非意図的な結果他動詞文を「状態変化主主体の他動詞文」と呼び、その成立条件としては、動詞の結果性と主語と目的語の所有関係を挙げている。

(4)私たちは、空襲で家財道具を焼いた。(天野みどり1987:110)

児玉美智子(1989)は次のような「ガ格名詞が動きの引き起こし手でなく、他者の力によって客体に起こった変化が主体(ガ格名詞)の状態変化として特徴づけられるような文」(児玉美智子1989:72)を「状態変化主体の他動詞文」[2]と呼び、次の例文を挙げている。

(5)勇次は教師に殴られて前歯を折った。(天野みどり1987:109)

(6)気の毒にも、田中さんは昨日の台風で屋根を飛ばしたそうだ。(天野み

どり1987:109)

(7)弟一家は大水で家を流した。(児玉美智子1989:70)

児玉美智子はこれらの文が「ガ格名詞が、動きの引き起こし手でなく客体変化後の事態を所有する」という意味で成立する場合の条件に関して、天野みどりが主張した条件のほかに、動詞の意志性が弱いという条件も挙げている。

そして、意志性の強い動詞としては、「殺す」、「預ける」などが挙げられ、このような動詞は状態変化主体の他動詞文にすることが難しいと指摘された。

(8)僕は大切に飼っていた虫を殺した。(児玉美智子1989:74)

(9)私は初めての給料をそっくりそのまま郵便局に預けた。(児玉美智子1989:74)

さらに、意志性の強い動詞句の例として次のような例が挙げられ、このような動詞句も「状態変化主体の他動詞文」にすることが難しいと指摘されている。

(10)さんまを焼く(児玉美智子1989:74)

(11)「不法駐車·公害·原子力発電·人権差別」をなくす(児玉美智子1989:74)

このように、児玉美智子は天野みどり(1987)の研究成果を受け継いで、「状態変化主体の他動詞文」の成立の条件としては、動詞に意志性が弱いものという条件を追加した。また、文法的な条件として他動詞文が「(主題)は(解説)」の構文を取っていることを挙げている。

天野みどり(2002:117)では、「状態変化主主体の他動詞文」の解釈の成立する条件·制約が改めて説明されている。

条件 ①述語の他動詞が主体の動きと客体の変化の両方の意味を表し、主体の意志性を無化することが可能な他動詞である。

②事態の直接の引き起こし手を言語的に明示することが可能である。

制約 ガ格名詞句とヲ格名詞句が密接な意味的な関係を持つと解釈されなければならない。

天野みどり(2002)の主張した条件①は「状態変化主主体の他動詞文」が成立するのに必要な条件であるが、十分なものとは言えない。また、どのような動詞は主体の意志性が無化できるか、どのような動詞は主体の意志性が無化できないか、説明されていない。

佐藤琢三(2005)は、天野みどり(2002)で主張されている成立条件と制約を全体的に認めながら、部分的に反対の意見を出している。佐藤琢三は「殺す」を「焼く」「折る」「飛ばす」などより意志性が強いと見なす根拠は不明であると主張している。その根拠としては、「あやまって殺した」などの言い方は何ら不自然ではないということを挙げている。そして、「殺す」と意味的に対応関係にある自動詞「死ぬ」の使役形の文「(事故で)子どもを死なせた」は自然な言い方であるという点が原因として関与している可能性があると主張している。また、述語の意味的な条件として「動作過程そのものに意味的な焦点がある動詞」は、「状態変化主主体の他動詞文」を成り立たせないと主張している。(佐藤琢三2005:116)

(12)勇二は教師に殴られて前歯を折った。(天野みどり2002:119)

(13)∗勇二は教師に殴られて前歯をへし折った。(佐藤琢三2005:116)

佐藤琢三は(12)が自然な文であるが、(13)は不自然な日本語だと指摘している。「動作過程そのものに意味的な焦点がある動詞」が「状態変化主主体の他動詞文」を成り立たせないという主張には、本稿も賛同している。

このように、天野みどり、児玉美智子、佐藤琢三は「状態変化主体の他動詞文」を一つの構文と見ている。この構文は動詞の一つ一つの具体的な用法と無関係に、主語が客体の変化を所有するという構文的な意味を表すと主張しているように見える。王忻、何哲(2015)は天野みどりらの主張に賛成する上で、この構文は一種のblending用法と説明し、他動的な事態は主語を含めず、述語の部分のみを含めていると主張し、児玉美智子と同じく「状態変化主主体の他動詞文」を「(主題)は(解説)」のような構文と見ている。

天野みどり、児玉美智子、佐藤琢三は事態の直接的な原因を言語的に明示することを、主語が客体変化後の事態を所有するという意味を表す構文の成立条件の一つだと主張しているが、事態の直接的な原因を言語的に明示する場合は、当然主語がその原因ではないということになるが、しかし、そのような文が日本語として適切であるとは限らない。もし「状態変化主主体の他動詞文」が「(主題)は(解説)」型の構文として成立するとすれば、天野みどりらが主張している条件を満たす文はすべてこの構文として成立できるはずである。しかし、次の(14)の文は天野みどりらが主張した条件を満たしており、主語が客体変化後の事態を所有するという意味の文として受け入れられるはずであるが、実際は日本語としてはあまり適切ではない[3]

(14)??Aさんはナイフを持った通り魔に襲われて、腕と背中を切った。

この例文から分かるように、「状態変化主主体の他動詞文」が「(主題)は(解説)」型の構文として成立するかどうかは疑わしい。成立するとしても、天野みどり、児玉美智子、佐藤琢三などの研究で主張されている成立条件が十分な条件とは言えない。そこで、本研究では、「主語に当たる人が目的語の変化を望んで意識的に行動して引き起こすのではなく、自分の不注意やミスによって不意に目的語に変化を起こさせる、或いは目的語の変化を実現するための行動をしていないが、外部から影響を受けて、受動的目的語の変化を被る」ような文脈設定をし、母語話者の協力で文章を作成し、複数の母語話者にそれらの文章の容認性を判断してもらう実験を実施した。

3.実験に関する説明

3.1 実験の目的と仮説

実験は以下のようなことを明らかにすることを目的とする。

①どのような事態が他動詞文としてコード化されやすいのか、どのような事態が他動詞文としてコード化されにくいのか。

②主語の所有物であれば、どのようなものでも非意図的な結果他動詞文、特に外からの影響を受けるような事態を表す非意図的な結果他動詞文の目的語になれるのか。

③どのような動詞が非意図的な結果他動詞文、特に外からの影響を受けるような事態を表す非意図的な結果他動詞文に使えるのか。

そして、次のような仮説を立てる。

仮説:非意図的な結果他動詞文の成立条件に関わる要因として事態の因果関係、主語と目的語の所属関係や空間的距離、動詞の語彙的意味が挙げられる。

3.2 実験に使う例文

実験の例文は合計110である。例文に用いる動詞は、非意図的な使い方が可能な有対他動詞[4]と無対他動詞から選択した。ただし、有対他動詞は300近くもあり、それを動詞ごとに全部調査をするのは実験の参加者に負担をかけることになる。また、使用頻度の低い動詞で調査しても動詞の馴染みの度合いの問題で文の容認性が影響される可能性もあるため、筆者は『日本語基本動詞用法辞典』(第四版)と『外国人のための基本語用例辞典』(第三版)に載った例文と『日本語書き言葉均衡コーパス』などから収集した例文の中に非意図的な使い方が現れた動詞を収集し、合計46個の動詞を実験に用いることにした。例文中の状況としては、「登場人物自らの不注意による被害」や「他人のミスや意図的な行為による被害」、「自然力などの無生物による被害」などの被害状況を設定し、それぞれの状況にできるだけ同じ他動詞を使って文を作った[5]。また、目的語の条件としては、主語との関連からの違いを示すために、主語の身体部位、主語の着用·持参している物品、主語の目や手が届かないところにある主語の所有物や管理物などの条件を設定した。

「主語自らの不注意による被害」の例:

(15)田中さんは転んでパソコンを壊してしまった。

「他人のミスや意図的な行為による被害」の例:

(16)田中さんは不良少年の悪戯で車を壊してしまった。

「自然の力による被害」の例:

(17)田中さんは出張中に地震で家を壊してしまった。

実験は、例文に対する容認性の判断という質問項目を設定し、「極めて不自然」「かなり不自然」「やや不自然」「ほんの少し不自然」、「完全に自然」の5段階で回答してもらった。

3.3 実験の手続き

実験の参加者は50代以上9名と20代27名、合計36名で、出身地は関西、九州、四国、関東である。実験は実験参加者に調査用紙を配布して、独自に回答してもらった。調査用紙を回収した後、実験データの年齢別の結果を比較し、t検定を実施したが、有意差は見られなかった(F=0.132 p=0.593)[6]。また、出身による差も見られなかった。そこで、本稿において実験参加者の年齢差と出身の違いを考慮に入れないものとする。

4.データの処理

4.1 データの分析手順

①コーディング方法

結果のコーディング方法については、「極めて不自然」「かなり不自然」「やや不自然」「ほんの少し不自然」「完全に自然」などの選択肢を0~4までの数値に量化して、容認性の平均値を計算する。さらに、例文間の容認性の差が明瞭になるように、その平均値を0~10の数値に換算する。

②データの分析方法

本研究では、まず事態の原因、目的語の種類によって例文分類を行う。

それから、各原因による出来事を表す他動詞文の間に言語としての容認性の差があるかどうかを確かめるために、出来事の原因が異なる例文のグループ同士を比較し、有意差の有無を検定するための統計的な手法t検定を実施する。

その次に、異なる目的語を持つ他動詞文の間に言語としての容認性の差があるかどうかを確かめるために、目的語の種類が異なる例文のグループ同士の容認性を比較し、t検定を実施する。

最後に、どのような動詞が非意図的な他動詞文、特に外からの影響を受けるような事態を表す非意図的な他動詞文に使えるのかを見るために、外からの影響を受けるような事態を表す非意図的な他動詞文の容認性を動詞ごとにグラフで示す。

4.2 例文の分類

本研究では、事態の原因によって例文を次のように分類している。

[自分]:主語自身の不注意、ミスなどの原因による非意図的な出来事。

(18)田中さんはタバコの不始末で大事な書類を焼いてしまった。

[他人(間接)]:他人が原因で、主語が転んだり、どこかにぶつかったりするなどして、その原因で、主語が被害を受ける出来事。

(19)田中さんは人に押されて、壁にぶつかって、大事な腕時計を壊してしまった。

[他人(直接)]:他人が原因で、主語或いは目的語が直接に影響を受ける出来事。

(20)田中さんは人にけられて、足を折ってしまった。

[自然力·災害(間接)]:地震などの原因で、主体がふらついたり倒れたりするなどの原因で、主語が被害を受ける出来事。

(21)田中さんは地震でふらついて、壁にぶつかって、大事な腕時計を壊してしまった。

[自然力·災害(直接)]:風、雨、台風、などの自然力と津波、地震、火事、空襲などの災害が原因で、主語が直接に被害を受ける出来事。

(22)田中さんは震災で家を焼いてしまった。

[物体]:物体が原因で、主語が直接に被害を受ける出来事。

(23)田中さんはシャワーを浴びている時、浴室のガラスが突然割れて、腕などを切ってしまった。

それから、目的語の種類によって実験の例文を次のように分類している。

[身体部位]:体の一部や髪なども含めている。

(24)いじめっ子のBさんが勢いよくドアを閉めたせいで、いじめられっ子のAさんは手を挟んでしまった。

[直接管理物]:主体の着用している衣類などや持参している物品や管理物など。

(25)Aさんは書道の授業の時に、クラスメートに悪戯で墨汁をつけられて、シャツを汚してしまった。

[間接管理物]:主体から離れている場所にある主体の持ち物や家財、管理物など、あるいは離れている場所にいる親族のことである。

(26)Aさんは、自転車置き場に止めておいた自転車を、同級生のBさんにいたずらされて壊してしまった。

5.実験結果とその分析

次では、事態の原因、目的語の種類、動詞の意味特徴による容認性の違いを見る。

5.1 事態の原因からの分析

本研究では、事態の原因によって例文の分類を行い、異なる原因による出来事を表す非意図的結果他動詞文のグループ同士を比較して、t検定を実施した。

それで、容認性に有意差(p<0.05)があったものは以下の通り。

表1

·[自分]>[他人(直接)] (F検定の結果:0.044)

表2

·[自分]>[自然力·災害(直接)] (F検定の結果:0.516)

表3

·[他人(間接)]>[他人(直接)] (F検定の結果:0.0009)

表4

·[物体]>[自然力·災害(直接)] (F検定の結果:0.984)

表5

·[自然力·災害(間接)]>[自然力·災害(直接)] (F検定の結果:0.442)

一方で、以下では容認性に有意差は見られなかった。

表6

·[自分]と[他人(間接)] (p=0.643) (F検定の結果:0.239)

表7

·[自分]と[自然力·災害(間接)] (p=0.950) (F検定の結果:0.435)

表8

·[他人(間接)]と[自然力·災害(間接)] (p=0.593) (F検定の結果:0.717)

表9

·[他人(直接)]と[自然力·災害(直接)] (p=0.874) (F検定の結果:0.229)

表10

·[自分]と[物体] (p=0.227) (F検定の結果:0.005)

このように、出来事の原因が異なる文同士の容認性を比較すると、有意差が生じるケースが複数見られた。このことから、事態の原因によって容認されやすい文とされにくい文があると解釈することが可能になる。従って、事態の原因が文の容認性に影響を及ぼしていると考えられる。

それに、t検定の統計結果によって例文を分類すると、すべての種類を次の二つのグループに分けることができる。

グループ1:[自分][物体][他人(間接)][自然力·災害(間接)]

グループ2:[他人(直接)][自然力·災害(直接)]

すると、グループ1の各種類の非意図的な結果他動詞文はグループ2の各種類の他動詞文より全体的に容認性が高い(p<0.05)ことが分かる。[他人(直接)]の他動詞文と[自然力·災害(直接)]の他動詞文は天野らが主張している「状態変化主主体の他動詞文」とほぼ対応しているが、このような文はほかの他動詞文より容認性が有意に低いことがわかった。したがって、天野らが主張している「状態変化主主体の他動詞文」が動詞の具体的な用法と無関係な一つの構文である可能性が低いことが検証できた。或いはその構文の成立条件に関する主張が不十分であることが検証できた。

5.2 目的語からの分析

目的語によって例文分類を行い、異なる目的語のグループ同士の容認性を比較し、t検定を実施した結果、以下のグループ同士の容認性に有意差(p<0. 05)があることわかった。

表11

·[身体部位]>[間接管理物] (F検定の結果:0.967)

表12

·[直接管理物]>[間接管理物] (F検定の結果:0.832)

一方で、以下のグループ同士では容認性に有意差は見られなかった。

表13

·[身体部位]と[直接管理物] (p=0.393) (F検定の結果:0.780)

以上のように目的語の種類が異なる例文のグループ同士の容認性を比較すると、[身体部位][直接管理物]の他動詞文と[間接管理物]の他動詞文の間に有意差が生じることがわかる。したがって、目的語の種類が文の容認性に影響を及ぼしていると考えられる。

以上、実験の結果をまとめると、容認性の差で目的語を次のような二つのグループに分けることができる。

グループA:[身体部位][直接管理物]

グループB:[間接管理物]

すると、グループAの各種類の例文はグループBの例文より全体的に容認性が有意に高い(p<0.05)ことが分かる。

天野みどり(1987、2002)、児玉美智子(1989)、佐藤琢三(2005)などは所有関係を広義的に使っているが、本研究の実験の結果でわかるように、所有関係の所有物にあたるものにも[身体部位][直接管理物][間接管理物]があり、しかもこの三種類の間にも容認性の有意差が見られるものと見られないものがある。先行研究のように全ての所有物を一括に取り扱うことができない。

5.3 動詞からの分析

異なる原因による出来事を表す例文の比較を通して、事態の原因が[他人(直接)][自然力·災害(直接)]である場合、文の容認性が他のタイプの文より有意に低い結果が出た。それは、全体的な傾向であり、そのようなタイプの非意図的な結果他動詞文の中にも一部容認性の高いものが存在する。また、目的語の条件としては、目的語が主語の身体部位である場合、文の容認性が高いという結果が出たが、動詞によっては、目的語が身体部位であっても、文の容認性が低いものも存在する。

次では、動詞の意味特徴が文の容認性に影響を与えるかどうかを検証するために、事態の原因を同じ条件[他人(直接)]に限定し、目的語も同じ条件[身体部位]に限定し、異なる動詞による例文の容認性を棒グラフで統計した。その結果はグラフ1に示す。

次のグラフ1から分かるように、事態の原因が他人(直接)であり、目的語が身体部位である場合、動作動詞と結果他動詞[7]の間にのみ差があるのではなく、異なる結果他動詞の間にも容認性の差が見られる。そのうち、容認性が5.00を下回るものには、「ぶつける」「ゆがめる」「割る」「ねじる」「切る」などの結果他動詞がある。また、容認性が7.50を上回るものには、「挟む」「傷める」「折る」「焦がす」「落とす」「打つ」などの動詞がある。このグラフから他人から直接働きかけを受ける場合、結果他動詞の中で容認されやすいものとされにくいものがあると解釈することができ、したがって、動詞の意味特徴が文の容認性に影響を及ぼしていると考えられる。

天野みどり(2002)は本研究の[他人(直接)][自然力·災害(直接)]と相当する「状態変化主主体の他動詞文」の成立する条件として述語の他動詞が主体の動きと客体の変化の両方の意味を表すこと(天野みどり2002:117)を挙げているが、本稿の実験の結果はその主張を支持している。

(27)小学校2年生の子どもは母親の虐待で体を数箇所叩いた。(母親が子どもを叩いた場合) (0.59)[8]

(28)中学生の男子学生は母親の交際相手の暴力で頭と胸をけった。(母親の交際相手が男子学生をけった場合)(1.25)

グラフ1 動詞による容認性の差

(29)田中さんは犬を怒らせて足を噛んだ。(犬が田中さんを噛んだ場合)(0.97)

(30)田中さんは娘の絵の具遊びで白いシャツに赤い色を塗ってしまった。(2.78)

上の(27)から(30)までの動詞「叩く」「蹴る」「噛む」「塗る」はいずれも主体の動きだけを表す動作動詞であるため、他人から直接的な働きかけを被る場合、その被る側を主語にして、他動詞の能動形を使う文は非文法的であるため、ほぼ容認できなかったと考えられる。

しかし、述語の他動詞が主体の動きと客体の変化の両方の意味を表す動詞であれば、「状態変化主主体の他動詞文」が必ず自然な日本語として成立するわけではない。述語の他動詞が主体の動きと客体の変化の両方の意味を表す他動詞でも、動詞によって容認性が変わってくる。

(31)Aさんはナイフを持った通り魔に襲われて、腕と背中を切った。 (4.57)(32)Aさんは人にひどく蹴られて足を折ってしまった。 (8.47)

(33)田中さんは悪魔に石で手を叩かれて、手の骨を砕いてしまった。(5.28)

(31)~(33)はいずれも主語以外の動作主の強い意志と行動による結果を表している。しかし、容認性から分かるように、「切る」「砕く」のような動詞で作られた例文は容認されにくいが、「折る」で作られた例文は容認されやすいのである。このような結果からも、「結果性」、「意志性」以外の動詞の意味特徴も非意図的な結果他動詞文の容認性に影響を与えることがわかる。

[他人(直接)][自然力·災害(直接)]タイプの非意図的結果他動詞文に関して、先行研究で主張されている成立条件が十分なものとは言えない。文の容認性に影響を与える動詞の意味要素はさまざまである。動詞の意味に関しては今後さらに詳しく考察する必要がある。

6.まとめ

本稿の考察を通して非意図的な結果他動詞文の容認性に影響を与える要素として事態の原因、目的語の種類、動詞の意味特徴などが挙げられることがわかった。したがって、非意図的な結果他動詞文に以上の要因で容認されやすいものとされにくいものがあり、無条件に成立するものではない。それに、所有の意味を表す構文として扱われてきた「状態変化主主体の他動詞文」は非意図的な結果他動詞文の中で一番容認性が低いことがわかった。「状態変化主主体の他動詞文」はもし動詞の具体的な用法と無関係な構文であれば、先行研究で挙げられている成立条件を満たした他動詞文の間に容認性の差がないはずである。しかし、動詞ごとに容認性の差が存在するだけではなく、「状態変化主主体の他動詞文」は全体的に容認性が低いことからそのような構文は日本語として認められにくいことがわかる。西村義樹(1998)は、「状態変化主主体の他動詞文」のような文が他動的な形式を取る以上、責任の意味を持つと主張し、責任という概念を「負の行為」という主観的な評価まで拡大解釈をした。しかし、そのよう文に責任の意味がほとんどないことは筆者が行った別の実験で検証された。認知言語学では、「Meaning is a conceptual phenomenon,and by virtue of construal a given objective situation can be coded by any number of expressions all of which are semantically distinct.」(Langacker 1991:517)と主張される。このような認知言語学の考え方から見れば、西村義樹の主張には合理性がある程度存在していると思う。文には責任の意味がほとんどないことはそのような文の容認性が低いという本稿の実験の結果と関係があるように思われる。「私たちは、空襲で家財道具を焼いた」のような文は主語が客体の状態変化を所有するという意味を表す場合、普通「私たちは、空襲で家財道具を焼かれた」という受身文の形にしたほうが適切である。他動詞文の形式を使って、責任の意味を表す場合、「空襲で」という主語にはコントロールできないような事態の原因をわざわざ示す必要はない。事態の本当の原因を示すことと、主語に責任があるという意味を表すことはそもそも論理的に矛盾なことである。また、「私たちは、空襲で家財道具を焼いた」は天野みどりらが主張している所有の意味を表す構文として認められにくいのも、所有の意味を表す場合、ほかの自然な言い方があるにもかかわらず、責任の意味を表す他動詞文の形式を使っているからであろう。天野みどりらの「所有」の主張と西村義樹の「責任」の主張はともに容認性の低い文を根拠としているものであり、日本語の他動詞文の研究者と日本語学習者に誤解を招きやすいものであり、見直さなければならないと思われる。

参考文献

[1]王忻,何哲.也▪日▪的及物性[J].解放▪外国▪学院学▪,2015,38(3):152-160.

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[3]天野みどり.文の理解と意味の創造[M].東京:笠間書院,2002.

[4]工藤真由美.アスペクト·テンス体系とテクスト:現代日本語の時間の表現[M].東京:ひつじ書房,1995.

[5]児玉美智子.状態変化主体他動詞文の成立と構造[J].甲子園短期大学紀要,1989(9):67-80.

[6]佐藤琢三.自動詞文と他動詞文の意味論[M].東京:笠間書院,2005.

[7]中本敬子.心理実験·調査による研究[M]//辻幸夫,中本敬子,李在鎬.認知言語学研究の方法―内省·コーパス·実験.東京:ひつじ書房,2011:95-128.

[8]中右実,西村義樹.構文と事象構造[M].東京:研究社出版,1998:108-203.

[9]早津恵美子.有対他動詞と無対他動詞の違いについて-意味的な特徴を中心に-[J].言語研究,1989(95):231-256.

[10]RONALD W L.Foundations of cognitive grammar[M].Stanford:Stanford University Press,1991.

【注释】

[1]本文为东北师范大学青年基金项目“语言与思维的关系视角下的日语及物动词句研究”(项目编号:XQ15022。项目来源名称:中央高校基本科研业务费专项基金资助)的阶段性成果

[2]天野みどり(1987、2002)では「状態変化主主体の他動詞文」という言い方が使われているが、児玉美智子(1989)では「状態変化主体の他動詞文」という言い方が使われている。

[3]本研究の実験では、容認性の度合いを0から10まで設定した場合、(14)の容認性は4.57しかなかった。

[4]有対自他動詞、無対自他動詞の区別に関しては、詳しく早津恵美子(1989)を参照されたい。

[5]文章作成の手順としては、筆者が動詞、状況、目的語を設定して、例文を作成し、さらに一名の日本語母語話者に修正してもらう形である。母語話者に修正してもらうところとしては、調べたい他動詞以外のところに文中に文法的な間違いや不自然な言い回しがあるかどうかなどである。また、一般の日本人の日常的な言語感覚で不自然だと思われるような状況をできるだけ排除し、改めて状況を設定して文章を作成してもらった。このように作成してある例文をさらにもう1人の母語話者に確認してもらってから、実験の調査用紙に載せた。

[6]p<0.05の場合、有意差があると認められる。

[7]動作動詞と結果動詞の分類に関しては工藤真由美(1995)を参照されたい。

[8]( )内に示してあるのは実験における容認性の結果である。容認性の結果は全部0~10の数値に換算してある。

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