日本の財政

①資源配分の調整：民間企業では供給しにくい公共財やサービスの提供（道路、警察など）

②所得の再配分：社会保障や課税を通して、社会の経済格差を縮める。

③経済の安定化：国民経済の安定を図るため、様々な景気対策を採る。

▲日本の国会

政府の来年度の財政予算は毎年1月から6月にかけて開催される国会において決められる。日本の会社や財政の会計年度は4月1日から翌年3月31日までである。毎年政府が得るお金を歳入、支出するお金を歳出と言う。また、好況時には政府は税率を上げる一方で、福祉や公共事業を縮小する。不況の時には逆の政策が採られる。

歳入は主に公債金、税収、印紙収入に頼っている。特に歳入の公債依存率は50％近くで、まさに「1円の収入で、2円の消費をしている状態である」。確かに先進国では財政の悪化が進行している国は多いが、日本はG8の中で財政赤字が最も多い。多額の国債発行は将来の世代にとって大きな負担となる。日本の財政が国債に頼るようになったのは、1973年石油危機発生以降である。一方で、歳出の中で最も大きな割合を占めているのが社会保障関連費用であり、その次が国債償還費である。このような問題を解決するため、行政改革、税制改革、民営化を行い、財政の健全化を図っているが、少子高齢化問題で支出はあまり減っていない。

税金の種類を国税と地方税に分けることができるが、それ以外に、直接税と間接税、また累進課税と逆進課税に分けることもできる。

分類1

直接税：納税者と負担者が一致する。所得税や法人税が挙げられる。

間接税：納税者と負担者が一致しない。消費税やタバコ税が挙げられる。

分類2

累進課税：高額所得者ほど税率が高くなる税金。所得税·相続税等高い所得再分配の機能を持つ。

逆進課税：税率が一律である為、所得に対する税の負担率が低所得者ほど大きい税金。例えば消費税等。

日本の現在の税収制度はアメリカのシャウプ勧告に基づいているため、アメリカと同じ直接税中心である。しかし、近年は間接税の比率が徐々に増えている。一方でヨーロッパは間接税が中心である。直接税と間接税の割合のことを直間比率と言う。（日本直間比6:4）

★消費税：日本[1]と台湾は世界で最も消費税率の低い地域である（5%）、一般的には15％前後の地域が多く（中国17%）、北欧地域では20%を超える。

戦前、日本は軍備を拡大するため、大量の国債を発行したが、戦後はこのような過ちを再び犯さないために、赤字国債の発行を禁止した。ただし、将来の世代にも有益な建設国債は例外的に認められている。しかし、1973年の石油危機によって、日本の財政が一気に悪化し、特例国債（事実上の赤字国債）の発行が認められた。そして、この赤字国債はバブル期を除いて、今日まで発行されている。現在国民一人当たり、政府に1000万円貸していることになる。

フィスカル＝ポリシー：政府が政府支出や租税を操作し、経済全体の活動規模を望ましい水準へ誘導させ、経済の安定化を図る財政政策。例：好況時は税率を上げて、福祉や公共投資を縮小する。

ビルト＝イン＝スタビライザー：制度的に財政に組み込まれていて、景気の変動とともに自動的に経済の安定を図るように作用する機能をいう。例：累進課税制度。景気が良くなれば所得が増大するので自動的に税収が増え、景気過熱が抑制される。

ポリシー＝ミックス：安定した経済成長を達成するための、財政政策·金融政策などの組合せのことを言う。

財政投資融資：税金や国債とは別に、国の信用で集められた郵便貯金や年金積立金を財源に特殊法人等の機関に政府が有償で融資すること。

［链接答案］

1. 消費税に関する説明として最も適当なものを、次の①～④の中から一つ選びなさい。

①消費税は、累進税の一種である。
②消費税は、直接税の一種である。
③消費税は、法人税に比べると景気の影響を受けにくい。
④日本の消費税の税率は、先進国の中では高い水準にある。

（「2007年度日本留学試験（第2回）試験問題[EJU]」）

2. 所得再分配的な政策として最も適当なものを、次の①～④の中から一つ選びなさい。

①消費税の税率を上げる。
②所得税の課税最低限を引き下げる。
③所得税を累進課税制とする。
④社会保険料を全国民一律に徴収する。

（「2008年度日本留学試験（第1回）試験問題[EJU]」）

3. 現在の日本の税制において所得の再分配をもたらす租税の組み合わせとして最も適当なものを、次の①～④の中から一つ選びなさい。

①所得税と相続税
②所得税と関税
③関税と消費税
④消費税と所得税

（「2009年度日本留学試験（第2回）試験問題[EJU]」）

[1]日本における消費税は2014年4月から8%に、2015年10月から10%に増税することになる。